「プログラミング的思考」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?2020年から小学校でプログラミング教育が必修化され、注目を集めています。しかし、プログラミング的思考とはコードを書く技術のことではありません。論理的に考え、問題を解決する思考プロセスのことで、日常の遊びの中でも十分に育てることができます。
プログラミング的思考とは何か?
プログラミング的思考(Computational Thinking)は、コンピュータサイエンスの父と呼ばれるシーモア・パパートが提唱した概念で、2006年にジャネット・ウィングが現代的な形で定義しました。
簡単に言えば、「複雑な問題をコンピュータ(人間)が解けるような形に変換する思考プロセス」です。プログラムを書くためだけでなく、日常のあらゆる問題解決に応用できる普遍的なスキルです。
プログラミング的思考の4要素
? ① 分解
複雑な問題を小さな部分に分ける。「カレーを作る」→「材料を切る・炒める・煮る・盛り付ける」に分解する。
? ② パターン認識
共通点・繰り返しを見つける。「毎朝の支度」のパターンを把握することで、効率よく行動できる。
? ③ 抽象化
重要な情報だけを取り出す。地図は現実を単純化(抽象化)したもの。本質的な情報だけを残す。
? ④ アルゴリズム
手順を順番に考える。「どうすれば解決できるか」の手順書を作る。料理レシピはアルゴリズムの一例。
これらの4要素は、日常生活のあらゆる場面に登場します。「ゲームのルールを理解する」「パズルを解く」「料理の手順を考える」など、特別な教材がなくても鍛えられます。
日常遊びでプログラミング的思考を育てる方法
〜3歳:積み木・パズル・ごっこ遊び
3歳以下の子供にプログラミングの概念を直接教える必要はありません。この時期の遊びの中で自然に論理的思考の基礎が育まれます。
- 積み木・ブロック:「大きい→小さい順に積む」「同じ形を揃える」などでパターン認識・分解能力が育つ
- パズル:試行錯誤しながら正解を見つける。「どこに入るか?」を考える問題解決能力の基礎
- ごっこ遊び:「お医者さんごっこ」の手順(待合室→診察→薬をもらう)はアルゴリズムの初歩的な体験
4〜6歳:すごろく・料理のお手伝い・カードゲーム
4〜6歳になると、ルールの理解・手順通りの行動・先読みした計画が少しずつできるようになります。
- すごろく・ボードゲーム:ルールを理解し、戦略を考える。「次にどうすれば勝てるか」を考えるのはアルゴリズム思考
- 料理のお手伝い:「材料を洗う→切る→炒める→盛り付ける」の手順はまさにアルゴリズム。分解・順序の概念が自然に身につく
- お絵かき・工作:「何を作るか決める→材料を揃える→順番に作る」の計画立案は抽象化とアルゴリズムの練習
小学生:Scratch・ボードゲーム・プログラミング教材
小学生になると、実際のプログラミングツールを使った学習も有効になります。
- Scratch(MIT Media Lab開発・無料):ビジュアルプログラミング言語。ブロックを組み合わせてキャラクターを動かす。コードなしでプログラミングの概念を体験できる
- アンプラグドコンピュータサイエンス:コンピュータを使わずにプログラミング的思考を学ぶ教材。カードゲーム・体を使ったアクティビティなどがある
- レゴ マインドストーム・スパイク:ロボットを組み立てて動かすプログラミングキット。工作とプログラミングを同時に体験できる
| ツール/教材 | 対象年齢 | 費用 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Scratch | 8歳〜 | 無料 | ブラウザで動作。MITが開発。日本語対応 |
| ScratchJr | 5〜7歳 | 無料(アプリ) | Scratchの幼児版。絵本感覚でプログラミング |
| Code.org | 4歳〜 | 無料 | アナ雪・マインクラフトなど人気IPとコラボ |
| レゴ スパイク | 6歳〜 | 40,000〜80,000円 | ロボット工学とプログラミングの融合 |
保護者ができるサポート法
??? 保護者のサポート5つのポイント
- 「なぜ?」「どうすればいい?」と問いかける:答えを教えるより、子供自身が考える機会を与える
- 失敗を責めない:プログラミングもパズルも、試行錯誤の繰り返し。「うまくいかなくて当然」という姿勢で
- 一緒に考える:親も「わからない」を共有し、一緒に調べる姿勢が子供の好奇心を刺激する
- 日常の「手順」を言葉にする:「歯磨きの手順は?」「登校の準備を順番に言ってみて」などで言語化を促す
- プログラミングスクールの体験を活用:多くの教室が無料体験を実施。子供の興味を確かめてから継続を検討
まとめ
プログラミング的思考は、プログラムを書くためだけのスキルではありません。問題を分解し、パターンを見つけ、手順を考えるこの思考法は、学習・仕事・生活のあらゆる場面で役立つ普遍的な力です。
特別な教材がなくても、日常の遊びや会話の中で十分に育てることができます。積み木・パズル・料理のお手伝いから始めて、成長に合わせてScratchなどのツールに挑戦してみましょう。大切なのは「楽しみながら考える」経験を積み重ねることです。
プログラミング的思考は21世紀に生きる子供たちにとって、読み書き計算と同じくらい重要な基礎スキルになりつつあります。


